めまい 半夏白朮天麻湯
50代 男性
既往歴:十二指腸潰瘍、膀胱ポリープ
現病歴:一年前から、フワフワするようなめまいがあり、肩こりを伴っていた。セフアドールなどを処方されていたが、あ
まり効果はなかった。
西洋学的所見:身長170cm、体重67kg。血圧137-86mmHg。いらいらした、疲れた様子がみられた。
漢方学的所見:中肉中背で、顏色はやや蒼白。舌は淡紅でやや胖大。苔は少ない。腹力は中程度。振水音などはない。
経過:半夏白朮天麻湯を1日5g7日間処方した。一週間後にはめまいは消失し、肩こりは半減して、パソコンが楽にでき
るようになった。
考察:半夏白朮天麻湯の原典は『脾胃論』で「素より脾胃の証あり。ーーー」とある。胃腸虚弱で下肢が冷え、めまい、頭
痛、などがある者に用いる。鑑別処方としては、呉茱萸湯、五苓散、釣藤散、苓桂朮甘湯などがある。呉茱萸湯は冷
え症の人で肩がこり、反復性に激しい頭痛がおこり、悪心、嘔吐を伴う場合に用いる。五苓散は冷え性でなく、口渇
尿量減少の傾向がある場合に用いる。釣藤散は中年以降の人で高血圧の傾向があって、めまい、耳鳴り、のぼせなど
がある場合に用いる。苓桂朮甘湯はやや体力の低下した人で、めまい、身体動揺感、たちくらみなどを訴える場合に
用いる。息切れ、心悸亢進、頭痛、のぼせ、尿量減少、心窩部振水音を伴うこともある。