アトピー性皮膚炎 白虎加人参湯

5歳 女性

主訴:皮膚炎

現病歴:2歳からアトピー性皮膚炎で、ロコイド軟膏などを使用していた。

西洋医学的所見:身長102cm 体重16kg

漢方医学的所見:顔面に赤い湿疹があり、引っ掻いて傷を生じている。腹部、背部にもみられる。痒みが強く、いらいら
        して、不眠がちである。舌は淡紅で、脈は平。腹力はやや軟。

経過:白虎加人参湯1日量3gを2週間処方した。2週目には発疹は半減し、いらいら、不眠も軽減した。
   その後次第に軽快し、安定している。

考察:原典は、「傷寒論」で「桂枝湯を服し、大汗出て後、大いに煩渇して解せず。脈洪大なる者は白虎加人参湯之を
   主る」とある。石膏、知母が主要な薬剤で情熱消炎、止渇の作用がある。私はアトピー性皮膚炎には第一選択で
   処方している。煎剤でも処方しているが、石膏の増減に伴って、皮疹が増減する。アトピー性皮膚炎の治療薬
   としては、石膏を含む越婢加朮湯、麻杏甘石湯、消風散などが有効なことが多い。
   鑑別処方としては、消風散、温清飲などがある。消風散は比較的体力が充実した人で、口渇があり、患部の湿潤
   と搔痒感が顕著で、一皮の形成と苔せん化がある場合に用いる。温清飲は体力中等度の人で、皮膚の発赤、熱感、
   搔痒感は強いが、患部は乾燥して、口渇を伴わない場合に用いる。