便秘症 潤腸湯
70代 女性
主訴:便秘
既往歴:60歳頃、うつ状態
現病歴:大腸がんの手術をしてから、便秘がちになった。大便は硬い。4-5日も排便が無いことがある。
西洋学的所見:身長158cm、体重53kg。血圧104-69mmHg。活気に乏しい。
漢方学的所見:舌はやや暗紅で、乾燥した薄白苔が見られる。脈はやや硬い。腹力はやや軟。下腹部が柔らかい。
経過:ツムラ医療用エキス顆粒潤腸湯を1日に5g処方したところ、週に2-3回便通がみられるようになった。
考察:潤腸湯は『万病回春』が原典で、「大便閉結して通ぜざるを治す」とある。体力中程度あるいはやや低下した人に
用いる。ことに老人あるいは胃腸機能の低下した人の弛緩性または痙攣性の便秘に用いられる。総じて、兎糞状の
硬便を滋潤するとともに、腸管の蠕動運動を強化して便秘を治す薬であり、補益性も有する。便秘の鑑別処方とし
ては、桃核承気湯、調胃承気湯、大黄甘草湯、桂枝加芍薬大黄湯などがある。桃核承気湯は、下腹部の圧痛などが
ある場合。調胃承気湯は、腹部膨満感が強く、腹痛する場合。大黄甘草湯は体質の如何を問わず、常習便秘に用い
る。桂枝加芍薬大黄湯は比較的体力の無い人で、腹部膨満感、腸内停滞感などを伴う場合に用いる。