気管支喘息 清肺湯
70代 女性
主訴:咳、息切れ
現病歴:気管支喘息で、漢方薬を処方されていた。処方内容は不明。メプチン、クラリシッドなどを処方されたが
軽快しなかった。咳、息切れが続いていた。ステロイドの点滴をされていた。
西洋医学的所見:身長143cm、体重45kg。血圧129-67mmHg。
漢方医学的所見:顏色はやや蒼白。早朝覚醒がある。舌は暗紅で、薄白苔をみとめ、やや乾燥している。脈は平。
腹力は弱く、上腹部が緊張して、硬い。
経過:清肺湯1日量6gを2週間処方した。2日目から咳と息切れは減少しはじめた。その後次第に喘息発作の回数と
強度が減少し、3か月目から、メプチン、クラリシッドなどは服用しなくなり、ステロイド点滴も必要なくなった。
4か月目からは清肺湯を3gに減量している。
考察:清肺湯は気管支喘息の咳には第一選択として用いることが多い。比較的体力の低下した人で、やや粘稠の痰を多く
排出し、咳が長引く場合に用いることが多い。
鑑別処方としては、麦門冬湯、麻杏甘石湯、滋陰降下湯などがある。麦門冬湯は体力中等度あるいはやや低下した人
の激しい咳嗽で、多くは咽喉が乾燥して違和感を生じ、欬嗽が発作的に頻発するような場合に用いる。
滋陰降下湯は咳、痰は清肺湯と同様であるが、体力が低下した人や老人の欬嗽で、皮膚は浅黒く、微熱、便秘傾向
のある場合に用いる。