気管支炎 清肺湯

 10歳 女
主訴:咳
現病歴:5歳から咳、鼻水などがあり、アレグラ(30)2錠、オノン、メプチンなどを服用していた。10日ほど前
    から、夜間の咳き込み、喘鳴がひどい。
西洋学的所見:身長121㎝、体重21㎏。血圧77-52mmHg。いらいらして疲れた様子がみられた。
漢方学的所見:顔色はやや浅黒い。いらいら、うつ気分がみられた。舌は淡紅で薄白苔を認めた。脈は浮数。腹力
       は中等度。
経過:清肺湯1日3gを2週間投与した。2週間後には咳は夜間は消失し、朝方のみになった。

考察:清肺湯は『万病回春』が 原典で、「一切の咳嗽、上焦痰盛んなるを治す」とある。咳、とくに夜間の咳き込み
   には第一選択薬であると考えられる。粘稠で切れ難い痰が多く、激しい咳が続く場合に用いる。咳の鑑別処方と
   しては、麦門冬湯、滋陰至宝湯、滋陰降下湯、五虎湯、などがあげられる。麦門冬湯は咽喉が乾燥して、咳嗽が
   発作的に頻発するような場合に用いる。滋陰至宝湯は慢性に経過した咳嗽にも用いられるが、体力が一層低下し
   た人で、痰は比較的切れやすく、量もさほど多くない場合に用いる。滋陰降下湯は咳、痰は本方と同様であるが
   体力の低下した人や老人の欬嗽で、皮膚は浅黒く、微熱、便秘傾向のある場合に用いる。五虎湯は比較的体力の
   ある人で、口渇、自然発汗などを伴う場合に用いる。