神経症 柴胡加竜骨牡蠣湯

30代 女性
 
主訴:緊張、不安、動悸
現病歴:高校生の頃から主訴があった。2-3週間前からひどくなった。
西洋医学的所見:身長156㎝、体重37㎏。痩せすぎで、顏色はやや蒼白。
漢方医学的所見:人前で特に緊張しやすい。舌は暗紅で、苔は少ない。脈は緊数。腹力は中等度で、腹部動悸を認める。
経過:柴胡加竜骨牡蠣湯を1日5g7日間処方した。翌日から動悸、不安、緊張感などが著明に軽減した。

考察:柴胡加竜骨牡蠣湯の原典は「傷寒論」で「傷寒八九日、之を下し、胸満、煩驚、小便不利、一身ことごとく重く、転
   側すべからざる者は、之を主る」とある。実証の神経症などには第一選択剤で、有効率はかなり高い。私の繁用処方
   である。鑑別処方としては桂枝加竜骨牡蠣湯、抑肝散、大柴胡湯などがある。桂枝加竜骨牡蠣湯は本方と神経症症状
   は似ていて、動悸はあるが、胸協苦満がなく、比較的体力が衰えている場合に用いる。抑肝散は神経症症状があり、
   腹直筋の緊張や腹痛などがあり、胸協苦満のない場合に用いる。大柴胡湯は柴胡加竜骨牡蠣湯と胸協苦満の程度は同
   じ位で、便秘があり、神経症症状と動悸のない場合に用いる。