起立性調節障害 補中益気湯
10代 女性
主訴:たちくらみ
現病歴:一年前から、たちくらみ、息切れ、疲れやすい等があった。リズミックを処方されたがほとんど効果はなかっ
た。
西洋学的所見:身長156cm、体重47kg。血圧93-47mmHg。中肉中背で、貧血などは無い。
漢方学的所見:顔色はやや蒼白。舌は淡紅、薄白苔。脈は沈虚。腹力はやや弱く、心窩部に軽度の圧痛がある。
経過:補中益気湯を1日5g2週間処方した。1週目からたちくらみは半減し、4週目には腹部の圧痛および疲れやすい
のも著明に軽減した。
考察:補中益気湯の出典は「内外傷弁感論」で「---脾胃を傷れば即ち其の気を傷る。---内を傷るを不足と為
し、不足なる者は之を補う。内傷は不足の病なり。---」とある。
鑑別処方としては、十全大補湯、小柴胡湯などがある。十全大補湯は、全身衰弱は補中益気湯と同様であるが、
顔色の悪さが顕著である場合に用いる。小柴胡湯は体力中等度の人で、季助部の苦満感を訴え、助骨弓下部に
抵抗、圧痛が著明に認められる場合に用いる。