顔面の座瘡 清上防風湯
20代 女性
主訴:顔面の座瘡
現病歴:中学生の頃から尋常性座瘡があった。大学3年になってからひどくなり、一部分が化膿するようになった。
西洋学的所見:身長163cm、体重58kg。血圧113-69mmHg。疲れた様子で、やや活気に乏しい。
漢方学的所見:肥満気味で、肌が乾燥している。月経はやや不規則で、中程度の月経痛がある。舌は淡紅で湿潤している。
薄白苔が少量見られる。脈は平。腹力は中程度である。
経過:初診時に清上防風湯5g、葛根湯5gを処方した。2週間後には化膿が半減し、4週間後には座瘡は著明に改善した。
考察:清上防風湯は『万病回春』が原典で、「面に瘡を生ずるは上焦の火なり。清上防風湯 上焦の火を清し、顔面に瘡
せつ、風熱の毒を生ずるを治す」とある。青年期の尋常性座瘡の治療には第一選択薬である。
鑑別処方としては、荊芥連翹湯、排膿散及湯、十味敗毒湯などがある。荊芥連翹湯は体力中等度の人で、副鼻腔、
外耳、扁桃などに炎症を起こしやすく、慢性化した皮膚疾患の場合に用いる。排膿散及湯は体力中等度前後の人で
の慢性化した皮膚疾患及び歯槽膿漏などの場合に用いる。十味敗毒湯は体力中等度の人の皮膚疾患で浸出液が少なく
化膿巣が小さく、時に季助部の苦満感及び抵抗、圧痛を呈する場合に用いる。